FIREを目指す際には、まず『いくら必要なのか』という目標金額を明確にすることが重要です。
目標金額が少なすぎるとFIRE後に資金不足に陥る可能性があり、多すぎるとFIREするまでの期間が長くなってしまいます。
この記事では、私自身がFIREを達成するために必要な資産額を計算した方法と、その金額を公開します。
また、目標金額を設定するまでの手順を詳しく解説することで、読者の皆さんが自分にとってのFIRE達成に必要な目標金額を考えられるようにしました。
「FIREにはいくら必要なのか?」と疑問に思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
FIREするために必要な資産額を設定する2ステップ+α
FIREを目指すうえで、まず取り組むべきことは、「いくらあればFIREできるのか?」という目標金額を明確にすることです。
しかし、単に4%ルールを適用するだけでなく、FIRE後のライフスタイルや収入源を考慮することで、より現実的な目標を設定できます。
今回は、FIREに必要な資産額を決めるための2ステップに加え、目標額に向かっての行動指針を紹介します。
- 現在の生活費を把握する
- FIRE後の生活の変化を考慮
- FIRE後の年間支出を算出する
STEP1で計算した生活費をもとに『4%ルール』を使用してFIREに必要な資産額を計算する
- 今後の運用方針を決める
FIRE後の生活費を試算する

現在の生活費を把握する
FIRE達成に必要な目標金額を決めるには、まず現在の生活費を把握する必要があります。
我が家では夫婦2人で暮らしており、現在の生活費は以下の通りです。
項目 | 一月あたりの金額 | 年間の生活費(月額×12ヶ月) |
---|---|---|
家賃 | 70,000円 | 840,000円 |
食費 | 43,000円 | 516,000円 |
光熱費 | 9,000円 | 108,000円 |
通信費 | 5,000円 | 60,000円 |
雑費 | 23,000円 | 276,000円 |
旅行・娯楽費 | 2,000,000円 | |
合計 | 150,000円 | 3,800,000円 |
我が家は生命保険や医療保険に加入しておらず、車も所有していません。
さらに、基本的に自炊しているため食費も抑えられており、毎月の出費は比較的少ないほうだと思います。
一方で、年に数回行く趣味である海外旅行にはお金を惜しまないため、年間200万円と家計の中でも大きな割合を占めています。
トータルの年間支出は380万円となりました。
FIRE後の生活の変化を考える
FIREをすると会社を退職するため、現在と比べて生活スタイルが大きく変わる可能性があります。
その際、どのような変化があるのかを事前に考えておくことが大切です。
具体的に変化する可能性がある点として、例えば以下のようなものがあります。
- 住む場所
- 人間関係や時間の使い方の変化
- 国民年金や国民健康保険料を自分で支払うようになる
住む場所
会社を退職し、通勤の必要がなくなることで、住む場所の選択肢が広がります。
家賃の安い地方への移住なども選択肢の一つになるでしょう。
筆者の場合、FIRE後は都会、または都会へのアクセスが比較的良好な場所への転居を検討しています。
ただし、都会であっても、最低でも家賃は現在と同程度に抑える予定です。
そのため、年間家賃は現在と同様、年間84万円で計画しています。
人間関係や時間の使い方の変化
FIREすると、通勤、会社での労働時間、職場の人との付き合いがなくなり、自由な時間が増えます。
そのため、趣味を始めとする自分がFIRE後にやりたいことに必要となる費用を事前に見積もっておく必要があります。
筆者の場合、海外旅行を趣味としているため、旅行頻度が増えることで費用が増加する可能性があります。
一方で、オフシーズンや平日などの時期に旅行できるようになることで、航空運賃やホテル料金を大幅に抑えられると予想しています。
そのため、FIRE後の旅行・娯楽費は現在と同様に年間200万円の支出を計画しています。
国民年金や国民健康保険料を自分で支払うようになる
会社を辞めると、会社の健康保険から国民健康保険への切り替えが必要となり、保険料の自己負担額が変わります。
年金についても、給与から天引きされなくなるため、自分で支払う必要があります。
国民年金や国民健康保険料がFIRE達成の目標金額に与える影響については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

妻と二人暮らしの筆者の場合、国民年金・健康保険料で毎年以下の支出が発生する予定です。
- 国民年金保険料:一人当たり203,760円×2人=407,520円
- 所得に応じて免除される可能性あり
- 国民健康保険料:147,200円
- 保険料は年齢や所得、居住地域によって異なります。
- 今回は~39歳、加入人数2人で計算。
FIRE後の年間支出を把握する
現在の生活費とFIRE後のライフスタイルを考慮した結果、筆者のFIRE後の年間支出は約430万円と想定できます。
項目 | 一月あたりの金額 | 年間の生活費(月額×12ヶ月) |
---|---|---|
家賃 | 70,000円 | 840,000円 |
食費 | 43,000円 | 516,000円 |
光熱費 | 9,000円 | 108,000円 |
通信費 | 5,000円 | 60,000円 |
雑費 | 23,000円 | 276,000円 |
旅行・娯楽費 | 2,000,000円 | |
国民年金保険料 | 407,520円 | |
国民健康保険料 | 147,200円 | |
合計 | 150,000円 | 4,354,720円 |
FIRE資産目標額の計算

4%ルールを適用して計算する
「4%ルール」は、トリニティ大学が過去の米国市場データを用いて行ったシミュレーション結果に基づいています。
具体的には、米国株式75%、米国債券25%で構成されたポートフォリオから、リタイア時の保有資産の4%を毎年定額で取り崩した場合、98%の確率で30年以上資産が尽きることなく生活できることが示されました。
この4%の根拠は、米国株式や米国債券を保有することで期待される年利7%からインフレ率3%を差し引いて算出されたものです。
この研究結果が「4%ルール」と呼ばれる由来となっています。
つまり、「4%ルール」に従えば、年間支出額の25倍に相当する資産を形成することで、労働収入に頼らず、資産の取り崩しのみで生活できるフルFIREを達成できる、という考え方です。
FIRE達成の目標額を決める際に、一般的に用いられるのが「4%ルール」です。
つまり、FIREに必要な資産目標額は以下の計算式で求めることができます。
年間支出 × 25倍 = FIRE資産目標額
筆者の場合で計算すると…
年間支出 4,354,720円 × 25倍 = FIRE資産目標額 1億886万8,000円
資産を切り崩す際にかかる税金について
新NISAやiDeCoを活用すれば税金はかかりませんが、通常の証券口座で投資信託や株式などの金融商品を売却すると、利益に対して20.315%の税金がかかります。
新NISAやiDeCoの非課税枠を一旦無視して、ざっくり50%の利益があったとして、この譲渡益に20.315%の税金が差し引かれる場合、毎年4,354,720円の手取りを確保するためには4,847,060円の資産を切り崩す必要があります。
この場合、4,847,060円 × 25倍の約1億2千万円の資産を築く必要があります。
ただし、新NISAで積み上げた資産額や、実際に将来発生する譲渡益などによって必要な資産額は大きく影響を受けるので、現時点で正確に予測するのは不可能です。
そのため、あくまでも大まかに年間支出の単純な25倍の資産では不十分な可能性が高いことを意識しておく程度で良いでしょう。
将来の不確定な税金額にフォーカスするよりも、FIRE後に資産が足りなくなるリスクに備えて、いつでも家賃の安い場所に引っ越せるように賃貸を選択しておくとか、自分の好きなことや、やっていて苦にならないことを活かした収入源を確保しておくことの方が大切だと思います。
年金や配当での収入
確定拠出年金(iDeCoや企業型DC)に加入していた人は、60歳で一時金を受け取ることができます。
また、年金は原則65歳から受給可能です。
さらに、株式や配当が出るETFを所有している人は、定期的に配当収入を期待できるでしょう。
ただし、将来のことは不確定要素も多いため、大まかに意識しておく程度で十分でしょう。
+α:FIRE達成に向けた資産形成戦略をたてる
- 現在の資産状況を把握する
今後の運用方針を決める
FIREを目指す上で、現在の資産状況をもとに適切な運用方針を検討することが重要です。
検討すべき内容には、以下のようなものがあります。
- 毎月の投資額や投資対象を決める
- 定期的に資産の状況をチェック
毎月の投資額や投資対象を決める
最適な投資スタイルは、個人のリスク許容度や、FIREを何歳までに達成したいか、目標資産額などによって人それぞれ異なります。
筆者は早期にFIREを達成することを優先しており、収入から生活費と趣味の旅行費用を引いたほぼ全額を投資に回しています。
このため、収入の約60%が投資に充てられています。
投資対象は主に米国株のインデックスファンドです。
米国株への投資には為替リスクや、不況時に利回りが下がるリスクもあります。
リスクを大きく取りたくない方は、債券や日本株にも投資するなど、他の選択肢も考慮することができるでしょう。
定期的に資産の状況をチェック
定期的に資産状況を確認し、目標資産額との進捗をチェックしましょう。
予定より資産の増加スピードが遅れている場合は、副業にチャレンジして入金力を高めたり、生活費の見直しを行うことも効果的です。
まとめ
FIREを目指す上で、最も重要なステップは「いくら必要なのか」を明確にすることです。
筆者は、FIRE後の年間支出が約430万円と想定し、4%ルールを用いて目標金額を1億886万8,000円と設定しました。
具体的な金額を把握することで、FIREへの道がより現実的になります。
目標に向かって、収入の増加と支出の最適化や効率的な資産運用を進めていきましょう。
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